学習塾協同組合の理事長としての取材をしていただきました

中小学習塾業界の現状や課題解決に向けた取り組みについて教えてください。

当組合の組合員は、1校のみを運営する小規模の塾が多く、地域に密着しながら小学生・中学生・高校生の学習指導を行っています。

我々、学習塾業界では、少子化の影響に加え、経済的な事情により通塾者数が減少するなど厳しい経営環境が続き、それにより子供たちの学ぶ機会と居場所が減ってしまっています。また、大手学習塾の寡占化の影響等による廃業等により中小学習塾の経営は厳しく、組合員数は30年前と比べて4分の1の数に減少してしまいました。

このような環境のなかで、組合員は地元密着型の塾として、塾生と講師の「対話」を大切にしながら塾生一人ひとりに合わせた学習指導を行っています。また、保護者からの勉強以外の子育ての相談等にも応じています。

私が経営する「ISJ 志学塾」では、社会に出てからも主体的な学びができるように個別指導では学習の基礎となる読解力や理解力、思考力を養うことを重点に、将来に役立つ力を身に着けてもらうよう指導をしています。また、経済的な事情から塾に通うことができない子供を対象に「日曜無料塾」を開催しています。小・中学校における不登校児童生徒数は299,048人(令和4年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果)と過去最多となるなかで、不登校の子供向けに勉強とメンタル面でのサポートを行い、子供たちの居場所づくりを推進するとともに不安を抱える保護者のサポートも行っています。

 

 

組合の役割、組合の取り組みについて教えてください。

組合の主な役割は「情報の共有」です。ひとつの塾では得られる情報に限りがあるため、研修会、情報交換会を実施しています。毎月1回定例会を行い、組合員間の交流を深めるとともに、各組合員の入塾者の状況や中学・高校・大学入試の分析などを行っています。組合員によって専門科目は違うので、専門教科の先生から教材を紹介してもらうなど、組合員間で情報交換をしています。

 また、昨年度は、「LINE公式の使い方セミナー~学習塾での活用!基礎から実践まで~」と題した研修会を実施しました。LINE公式アカウントの強みや基本機能について学ぶとともに、既存生徒のフォローや新規生徒の募集でのLINEの使用など学習塾での活用方法について学び、大変好評でした。

 それ以外にも、令和2年度から開始した小学校での英語必修化や大学入試改革に対応するための研修会、新聞社の編集員を講師に招き作文指導や添削指導方法を学ぶ研修会など組合員のニーズに合った研修会を行ってきました。

今後も組合員に役立つ研修会を実施していきたいと思います。

 

教材・教具展について教えてください。

毎年、組合主催で水戸市と土浦市(又はつくば市)で、約10社の教材販売会社が小学生・中学生向けの問題集などを中心に展示する「教材・教具展」を実施しています。

以前は東京都などで開催される各教材販売会社の展示会に参加していましたが、この教材・教具展では県内において、複数の教材販売会社の教材の情報を一度に得ることができ、参加者からは大変好評です。組合員以外の中小学習塾の経営者や講師なども参加し、その場で教材を比較し、今後の教材選択に活かしています。また、教材販売会社もその場で情報交換を行うなど有意義な機会となっています。今年度は、令和71月に開催予定です。

 

今後、組合で実施していきたいこと、抱負等を教えてください。

組合員を各地域の皆様に知ってもらえるような活動を行っていきたいです。

公開テストなどを合同で行い、組合員の塾が一斉で広告宣伝を行うなどして、組合員の塾を知ってもらい、塾を選択する場合の選択肢のひとつとなるよう組合員の認知度がさらに向上するよう活動していきたいです。

また、学習塾は入試制度の変更や小中学校の教科書改訂などの変化にも柔軟に対応していかなくてはなりません。そのような変化にも対応できるよう今後も情報の共有を積極的に行い、県内の中小学習塾の更なる発展に向けて、組合として力になれるような活動を行っていきたいと思います。